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ナイトロックスとは

ナイトロックスはこれまで親しまれてきましたが、ダイビング業界の中ではまだなお議論の余地が残されています。プロダイバーの中で話し合われてきましたが、誤解も生じています。いくつかの原則に関し明確にしなければなりません。ここでは、ファンダイビングをするときにナイトロックスを使用する場合のよくある疑問に対しお答えします。ナイトロックスは新しいものではありません。軍事目的、商業目的そして調査などですでに30年以上も利用されてきました。ただファンダイビングに関してはまだ利用され始めたばかりです。
私たちはすでにエンリッチドエアーナイトロックス、EANx、セイフエアー、ナイトロックスなど様々な名前を利用しています。ナイトロックスのもっとも簡単な定義は、単に窒素と酸素を混ぜ合わせたものということです。ですから、空気もナイトロックスといえます。しかし、ダイビングでは通常21%以上の酸素を配合したガスをナイトロックスと呼んでいます。
いろいろな呼び方がありますが、混乱を防ぐためにたとえば“ナイトロックス36”という呼び方が使われています。これは酸素の配合が36%そして窒素の配合が64%ということを意味しています。酸素の32%と36%の配合率はそれぞれ、ナイトロックス1とかEANx32、そしてナイトロックス2とかEANx36と呼ばれています。これらはアメリカ海洋大気局でもっとも一般的に使われる配合率です。
ナイトロックスの目的

よく知られているように、呼吸する空気に含まれる不活性ガスとしての窒素が減圧症を引き起こします。窒素はまた、窒素酔いを引き起こします。ナイトロックスは潜水中に呼吸する窒素の量を減らすために考え出されました。呼吸するガスの中の窒素を酸素に置き換えることにより従来のダンクより窒素の吸収率が下がりました。
酸素は身体内で新陳代謝されるため、理論上減圧症の原因にはなりません。そのため、例えばEANx32を呼吸するダイバーはある深度においては、空気を呼吸するより長い減圧不要限界を得ることができます。もし減圧停止が必要ならより短い時間ですむはずです。さらに減圧停止には呼吸するための空気が必要になりますが、潜水中に軽減された窒素は臨時の安全要素としても機能します。どちらのケースにおいても、窒素酔いは理論的に同じ深度で空気を呼吸することに比べて軽減されます。
ナイトロックスは極端なディープダイビング用には考えられていません。これから述べるように、高い酸素混合比率のEANx32はリクレーショナルダイビングの最大深度−40m以上の深度では安全ではありませんし、より浅い深度でも限られています。時にナイトロックスはディープダイビング用の気体と勘違いされます。なぜなら商業潜水においては、ディープダイビング用の減圧ガスとしてナイトロックスを使うからです。しかしながらこれらのダイバーは浅い深度に戻ってくるまではナイトロックスを使わないのです。
安全性

30年以上前からナイトロックスは厳重に管理され、軍事、科学、コマーシャル、テクニカルダイバーによって利用されてきました。公式に検査されたガスとしてでなくとも、ナイトロックスの安全記録はきわめて優秀です。ドプラー検査では、ダイブテーブルの限界以内でのダイビングにおいては小さくて探知できないほどの気泡しか形成されていません。職業ダイビングにおいて、ナイトロックスを利用した場合のダイビングは空気を利用した場合のダイビングよりDCI発生率の割合高いとは考えられていません。適切に利用されれば、空気を使うダイビングより危険であることはありません。
ナイトロックスの利用

キーワードは“適切に使う”ということです。
ナイトロックスでのダイビングは空気でのダイビングより長い減圧不要限界をもたらしますが、空気を使うリクレーショナルダイビングとは異なるトレーニングを必要とします。まずひとつのタイプの空気はもともと78%の窒素と21%の酸素から成り立っています。(ナイトロックスの計算は普通空気中の窒素分圧のプラスまたはマイナス1%が許容範囲であると仮定します。そのためほんの少しのパーセントの違いは別々のものとしては扱われません。31.6%、32%、32.3%の酸素のナイトロックスは全てEANx32と考えられます。)
ナイトロックスを使うための最も一般的な方法は実際の深度をエアーテーブルと一緒に使用される空気換算深度(Equivalent Air
Depth =EAD)に置き換えることです。これはシンプルな公式によって求められます。例えば、水深−25mで、EANx36を使うと、空気換算深度は−18.4mになります。つまり、そのダイバーの減圧不要限界はその深度(約−20m)から導きだされます。空気換算深度のコンセプトを使えば、どの混合ナイトロックスもエアーテーブルを用いて使用することができます。上記の例において、ナイトロックスの減圧利点は急速にしられるようになってきました。使用するエアーテーブルによりますが、水深−25mにおいて空気を使った場合の減圧不要時間はたった29分なのに対して、ナイトロックス使用では45分となります。あるいは16分間の安全要素が生まれると考えることもできます。
ナイトロックスの使用を簡単にするために、ナイトロックステーブルは開発されています。NOAAはEANx32のためのテーブルを1978年に、EANx36の為のものを1980年代前半に発行しています。実際、これらのテーブルはまさしくスタンダードなアメリカ海軍のテーブルを取り替えただけです。これらに加えて他の組織、例えば世界中の様々な海軍もナイトロックステーブルを持っています。そして、ついにPADIのRDP32とRDP36が1995年から96年にリクレーショナルダイバーに紹介されました。ナイトロックステーブルを使うことにおいて、ダイバーは自分の呼吸する特定の混合ナイトロックスの為の適切なテーブルを必ず使わなければなりません。
酸素中毒

不幸にもナイトロックスの窒素を軽減できるというメリットは酸素のデメリットという犠牲がついてまわります。ナイトロックスを利用するとき、高分圧下の酸素の危険にさらされる可能性が空気を使用する場合と比べて、はるかに浅い深度ででてきます。32%以上の酸素混合率のナイトロックスはリクレーショナルダイビングの最大深度の−40mでさえ使用することはできません。
ここでの問題は中枢神経系(CNS)酸素中毒です。これは高分圧の酸素にさらされる時間の長さに関係します。潜在的な危険性は酸素分圧がその絶対限界を超えた時に起こります。中枢神経系の酸素中毒はダイバーにケイレンや意識喪失を起こさせます。これは警告となる徴候を伴う時と伴わない時があります。ケイレンはそれ自体は危険ではありませんが、意識不明のダイバーはレギュレーターを失って溺死する危険性があります。
酸素の絶対限界は根本的に酸素分圧によって異なります。ダイバーは重大な神経中枢系中毒の徴候なしに0.6Ataの酸素分圧に12時間まで耐えることができます。酸素分圧に絶対限界は1.6Ataで、時間は45分です。これは、空気換算深度(EAD)の減圧不要限界よりは短いのです。ナイトロックスダイバーは減圧不要限界を超えないように注意するのと同時に、決して酸素分圧と許容時間が“酸素時間”(Oxygen Clock)を超えないようにチェックしなければなりません。
ナイトロックスの酸素の割合が増すと、絶対限界1.6Ataの深度も浅くなります。空気を呼吸するダイバーは水深−66.5mで1.6Ataに達するのに対し、EANx32を呼吸すると−40.3mで、EANx36だと−34.6メートルで1.6Ataに達します。これらの深度より深い地点では、中枢神経系酸素中毒の危険性は飛躍的に増大します。
器材

テクニカルダイビングとナイトロックスの使用の増加に伴い、スタンダードなスキューバ器材をナイトロックスに使用できるかという報告がいくつか出ています。
70年代からのNOAAのポリシー;
- タンク以外の標準エアー器材は40%かそれ以下の酸素混合のナイトロックスには修正なしに使用できる。
- 40%以上の酸素混合のナイトロックスを使用する場合は酸素基準に合うように洗浄された器材を必要とします。
これはナイトロックスに最も一般的な酸素の混合比率は40%以下ということです。ダイバーは通常のエアータンクで利用している器材と同じものを利用することができます。タンクはナイトロックス内の酸素混合率にかかわらず、エンリッチドエアー用のものを使います。タンクがエンリッチドエアー用のものでなければならない理由はナイトロックスを混合する一般的な方法は分圧混合方式だからです。これは100%酸素をシリンダーに加えて、その後、エンリッチドエアー用に浄化された空気を入れます。最終的な酸素混合比率が40%以下の時でさえ、エンリッチドエアー用に混合している間、100%の酸素にさらされています。酸素適合に加えてナイトロックスタンクは空気のタンクとの混同を避けるためにはっきりと識別されなければなりません。32%以上の酸素混合のものを使うことを考慮することは重要であり、伝統的な−40mのリクレーショナルダイビングの深度限界の範囲内ではダイバーは最大酸素深度の限界を超えることができます。
ナイトロックス少なくとも1つの特別な器材である酸素テスターを必要とします。ナイトロックスダイバーが自分自身の酸素テスターを持つ必要はありませんが、タンクが充填された後に、ダイバーは混合酸素を個人的に確かめなければなりません。この安全処置は正しい空気換算深度の使い方と酸素分圧の計算をさらに確実にします。
ガス比率

ナイトロックスの混合は圧縮空気をただ入れるほど簡単ではありません。実際、一般的なダイビングショップの空気はダイビング用圧縮空気の基準を満たしていますが、しばしばナイトロックス混合のための高い基準を満たしていないことがあります。ナイトロックス用のタンクに普通の圧縮空気を特別なコンプレッサーを使わずに入れることはできません。もしそういうことをすると、火災や爆発の危険性が非常に高くなります。このようなことを避けるために、ナイトロックスダイバートレーニングではこれらの点を強調しています。
ナイトロックスダイバーは普通のダイビングショップではナイトロックスを提供できないことを学びます。特別なダイブショップや組織は適切なナイトロックス混合機械をもち、使用しています。つまり安全なナイトロックス混合には特別な機械が必要であり、ナイトロックスダイバーには特別なトレーニングが必要であるということです。
ナイトロックスコース

ナイトロックスを使用する際には、酸素の比率が普段の空気より多いため、従来のタンクを使用した時には必要としなかった特別なトレーニングが必要となります。PADIの
エンリッチド・エアー・ナイトロックス・コース
ではナイトロックスの特殊な状態を学び最大限に使用できるようにします。また、PADI エンリッチド・エアー・インストラクター・コース
ではインストラクターになったときのナイトロックス講習の行い方やマーケティングをお教えします。
ナイトロックス認定ダイバーになるとナイトロックスタンクを借り、私たちの デイトリップ
で、新しいダイビングの世界を広げることができるでしょう。

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